建築デザイナー
開 達也

(有)開建築設計事務所 代表
一級建築士

経歴
1972年 徳島県生まれ
1997年 大阪工業技術専門学校 建築科 卒業
1997年 開建築設計事務所 入所
2012年 徳島大学 非常勤講師

受賞歴
2012年 第13回 徳島市街づくりデザイン賞
2013年 LIXILメンバーズコンテスト2013 リフォーム部門地域最優秀賞

建築デザイナーになろうと思ったきっかけ

開先生が建築デザイナーになろうと思ったきっかけは、何でしょうか?

元々は機械系の大学に進んでいたのですが、その大学で図面を書く授業がありました。それまで授業で面白いと思ったことはなかったのですが(笑)図面の授業だけは違って、とても楽しかったんです!
頭の中でイメージしたものを図面に書くと、徐々に具体的なカタチになっていく・・・もちろん紙の上での話ですが、その面白さが、図面を書く仕事を目指すきっかけになりました。

物づくりの楽しさに目覚めてしまったんですね!
機械系の大学だったのがその後建築に進まれたのは、どういった理由だったのでしょうか?

そのまま機械系を進む道もありましたが、建築の方が、自分が設計したものを形にする魅力が多くあるように思いました。父が建築設計をしていたこともありましたし。
それで大学卒業後、建築を学ぶために建築の専門学校に進み、父の設計事務所に就職しました。

経歴欄にある「1997年 開建築設計事務所 入所」ですね!
お父上の設計事務所だったんですね。

そこではもちろん図面を書いていた訳ですが、建築デザイナーという意識はまだなかったんです。でも仕事をしているうちに、建築の奥深さとか面白さが分かってきて、と同時に、大学で建築を学んでいないコンプレックスみたいなものが出てきました。
それから建築の本を読んだり、実際の建築を見に行ったりして必死で勉強しました。建築デザイナーを意識したのはその頃からですね。

最初から「建築デザイナー」という意識ではなかったのですね。

他の人より少し遅かったかもしれませんが・・・そのモチベーションは今でも続いてますし、新しいことに挑戦したいという気持ちにもつながっているんです。今ではその経験があって、とても良かったと思ってます!

「アイデアを育てていく」という設計方法
スマホアプリなど、最新テクノロジーも活用

設計のアイデアなどは、どのようにして沸いてくるのでしょうか?

アイデアが沸いてくることもあるのですが、「いろんなアイデアを試し、その中で出てきたカタチを育てる」という方が合ってるかもしれません。
とにかくいろんな方向から敷地を眺め、また敷地からいろんなところも眺め、いろんな可能性を探っていきます。その中からその場所に合うもの、お客様に合うものをカタチにしてみる。うまくいかなければまた違うアイデアで試してみる・・・そういったことを繰り返すうちに、ベストなカタチが見えてくるという流れですね。

なるほど。試行錯誤することで、アイデアから実際のカタチに育てられていくのですね。

具体的な進め方でいうと、まずは敷地を見に行くわけですが、最近はスマホのアプリも活用しています。敷地に立ってスマホ画面を空に向けると、太陽の軌跡が表示されるというアプリがあるんです。
例えば東に建物があって、◯月◯日の朝は何時から日が入るかを確認したり、敷地内で一番いい場所はどこか探したり、そういった目的で活用しています。

すごい!そんなアプリがあるんですか!
便利な時代になりましたね・・・

↑スマホアプリ「Sun Seeker」で太陽の軌跡をみる

設計に入ると、BIMというツールを使って3Dで行なっています。
まず周辺を含めた敷地を3Dモデリングし、環境を再現させます。するとコンピューター上で空から見たり、道路からどう見えるか、敷地から何が見えるか、日差しがどう入るかなどシミュレーションできるので、それらを見ながらプランの大枠を作っていきます。
間取りを考えるのも3Dで、平面だけでなく立体的なつながりも考えながら、同時に行なっています。

BIMというツールを使うことで、プランを考えながら同時に3Dの空間が出来上がり、カタチが作られていくんです。その過程で窓からの日差しがどう入るか、夏は日差しを遮り冬は日差しが入るようにするにはどういう形がいいか、風通しはどうかなど・・・徐々にアイデアを育ててプランにしていく感じです。

↑設計ツールを使って3Dでプランニング

↑設計ツールを使って年間日射量シミュレーション

お客さまにもこのプランになった過程を見てもらっています。そうすることで「なぜこの設計にしたのか?」という意図が伝わり、その後の流れがスムーズになるんです。
お客さまが図面だけで空間を理解するのは難しいですが、3Dであれば分かりやすいですからね。

そうですね!
昔は立体イラストや模型を見せて、お客さまにイメージしてもらってました。ですがこのツールを使えば日照や風通しまでシミュレーションできて、よりリアルに想像してもらえますね。
本当にこれは便利なツールです!

実施設計ではコンセントの位置も3Dで確認してもらっています。仕上げのイメージもCGでリアルな表現ができるので、出来上がってから「想像していたのと違う」と言われることはなくなりました。

↑設計ツールで作成した完成イメージCG

↑完成イメージCGと日差しシミュレーション。本当にリアルで、これなら完成後のお家を簡単にイメージできます。

大学講師ならではの、「お家での過ごし方」を調査
現代的な生活スタイルを提案

住まいづくりで意識していること何でしょうか?

住まいは時代ごとに、そのニーズに応える形で変化してきました。 昔の住まいはひとつの空間で家族が寝食していましたが、近年は衛生面やプライバシーの問題から家族で過ごす空間はリビング、寝る部屋は寝室へと、用途ごとに区切られた空間になった住宅が一般的になっています。

リビングにはテレビとソファが置かれ、そこに家族が集まりテレビを見ながら会話をする姿が、かつての家での過ごし方だったと思います。
しかし今はどうでしょう?
家族は一人ひとりスマートフォンを持ち、寝室と子供部屋にはテレビやゲームなど一人で楽しむものが揃い・・・リビングで家族と過ごす時間は、どんどん減ってきているのではないでしょうか。

私は今、大学の非常勤講師として建築計画を教えていて、学生達に家族との過ごし方についてアンケートを4年間取ってみました。
「夕食はだれとたべていますか?」
「夕食後、どこで誰と過ごしていますか?」
すると、夕食を家族と一緒にとる学生は約80%で4年間変わらずでしたが、夕食のあと家族と過ごす学生の割合になると、初年度は64%、その後徐々に減り4年目には48%という集計結果が出ました。
実に半数以上の学生が、食事のあと自分の部屋で一人で過ごしているのです。

これが悪い結果ととらえるべきかどうかは分かりません。
ただ、建築デザイナーは「リビングは家族で過ごす大事な空間」という前提で設計をすることが多いです。生活スタイルや家族間コミュニケーションのあり方が変わりつつあるということは、我々建築デザイナーは、その前提を考え直さないといけないことになります。

なるほど。
昔の生活スタイルと現代のものは変わってきている・・・それを踏まえつつ、住まいづくりに反映させるのですね。

とはいえ、リビングがいらないとか個室を充実させる、などの形でニーズに応えるのでは、建築デザイナーとして寂しいですし・・・ やはり家族が顔を向き合わせ、会話のあふれる明るい住宅を作りたいですよね。

そういった思いもあって、「SKIP」という住宅のデザインに反映させてみました。
お客さまからは「図書館のような場所がある家にしてほしい」と要望されました。そこでリビングと個室をつなぐ廊下の代わりに、大きな階段に大きな本棚がある、大きな空間をつくったんです。

↑開先生が設計されたお家「SKIP」

↑リビング~中2階~3階の個室へと大きな階段でつながっている。仕切りはなく、ひとつの大きな空間

すると子供たちがリビングでテレビを見たり、階段に座って本を読んだりゲームをしたりと、いろんな居場所でいろんな過ごし方ができるお家になりました。
家族がいろんな場所にいてもひとつの空間なので、どこで何をしているかわかるし、声をかければ返事が帰ってきます。

↑大きな階段の空間では、いろいろなところに「居場所」ができる。様々な過ごし方ができるが空間はつながっているので、個人にはならず、家族のコミュニケーションは活発になる。

それはいいですね!
いくら世の中の生活スタイルが個人主義になってきているとはいえ、それをそのまま受け入れるのではなく、建築デザイナーからの提案もある。
長い時間を過ごすお家という空間ですから、そこがご家族に及ぼす影響も大きいでしょうね。すばらしいデザインだと思います!

今後もテレビやゲーム、スマートフォンなど個人で楽しむモノは増えていくでしょう。いくら家族間コミュニケーションが大事だからといっても、それらを拒むことはいい結果にはならないと思います。
時代の流れに向き合いながら、家族のコミュニケーションも図れるような、そんな住まいのつくり方を考えていくことが建築デザイナーの役割だと思っています。

時代の変化に合わせつつ、新しい暮らし方の提案もなされた、すばらしい家づくりの哲学だと思います。
私たち建築業が家づくりを通してできること、その可能性が大きく広がるような、すてきなお話でした!
本日はありがとうございました!

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